奥さまが実家に帰っているので、今夜はひとりで寝なくてはいけない。
とても静かな夜です。

本を読んでいる。
開高健の作品集を古本屋で買ったので行き帰りの電車で読んでいる。
おもしろいかおもしろくないかで言うとあんまりおもしろくはないんだけど、文章がぬるぬるして読みやすい。
良いボールペンでものを書く時みたいにストレスなくぬるぬると読める。すごい文章だな、どうなってんのかなと思いながら読んでいる。

仕事も特にそんなにおもしろくはない。
こんなことに時間を使っとってええんかいな、と思いながら気が付けば1日が終わっている。
目の前の豆を食うだけの鳩みたいなもんだ。明日に何も残らない。

もしかしたら、みんなそうやって生活してるのかもしれん。
あまりおもしろくはない退屈な仕事などを、いろんな楽しみをみつけたりしながら毎日やっつけてるのかもしれん。
つまらんなあっていう気持ちがあふれそうになったらいろいろ理由をつけて人と関わる。打ち合わせをしたり。物を売ったり。
それで怒ったり笑ったりして発散してまた退屈な仕事に戻っている。のかもしれん。

要るかどうかよくわからないものを買ったり、なんの役に立つのかよくわからんものを売ったり。毎日がんばって作ってるものは、きっと10年後には全部消えている。
人の口から飛び出した言葉や感情が、自分の頭から外に出た途端に消えてしまうみたいに、跡形もなくさっぱりと消える。煙のように。
それを思うと、じわじわと花が水を吸い上げるような感じでおもしろい。笑う。

ご機嫌でいられることが大事。いまこの存在がご機嫌なリズムを奏でていることが大事。音楽はやがて止むので。今の僕がご機嫌サウンドで振動していることがなにより重要。