なんばわん
JRの塩屋から須磨までの間は、海のすぐそばを電車が走る。
海の波が打ち寄せる砂浜と僕を会社へと運ぶ電車とを隔てるものは、ちょっとした背の低い防波堤と電車の窓ぐらいで毎朝僕達通勤の人たちは金色の海を大画面で見ることになる。
朝の太陽をあびた凪の海は、アメリカの青春映画みたいに目もくらむほどに金色でキラキラしている。そのキラキラの中で釣りしているおっさんはずいぶん優雅に見える。
毎朝見てるのに見飽きるというこはなくて、でも見たくないって時はあって。
特に今日も一日会社に閉じ込められるのか、たまらんなあ。っていうどろどろな気分の時には朝の海から目をそらしたくなる。つり革にぶら下がって、くたびれた洗濯物の靴下みたいな感じでただゆらゆらしていたい朝もある。
いつかあのキラキラの中で、通勤の電車の音を背中に聴きながらあのおっさんたちみたいに堤防から釣竿をたらしてみたいものだ。たぶん餌や針などはつけなくてもいいと思うんですよね。